KERA MAP #006 GOODBYE 10/18 感想
思いだし感想2つ目。
10/17,18は観劇続きだったなあ。
この日は横浜のKAATでGOODBYEを見ました。
KAAT大好き!前日赤坂ACTだったからか、より一層感じたw
KAATは綺麗だし、音響も結構いいし、あと客席間が広いので通り抜けしやすい。
傾斜も強いので、どこからでも人の頭というストレスを抱えずに見ることができる。
バルコニーはさすがに見切れがありそうだけど…
今回は2階席2列目ドセンターという席だったけど、とても見やすかったな。
肉眼では表情は見えるか見えないかくらいだけど、全体がよく見えるし。
でも結構高いので、高所恐怖症の人は要注意。
この舞台はストレートプレイは初めての妹と祖母と見に行ったけど、二人が見た最初のお芝居がこれでよかったな、と思う。
とても楽しい舞台だった。
私も観劇初心者(というより何となく流されるまま見たいものを見ている)なので、KERA MAPのことについて全く知らなかった。
豪華なキャストを見て、家族で見るなら絶対こういうテレビでよく見る人たちが出ているお芝居がいいよなーというざっくりした理由でチケットを取った。
その後で調べて、ケラリーノさんという方が有名な演出家で、KERA MAPはケラリーノさんが脚本、演出するお芝居なのだと知った。
その時、ケラリーノさんのお芝居の特徴は、シュールで毒のある世界観が特徴とあって、正直不安になる私…
なにせ、祖母は82歳!
あまりに静かだったり、難しい演出の舞台では寝てしまう(笑)!!!
なにせ宝塚でも寝たんですよ。あんなにオケが鳴っているのに。
でもベルバラは起きてた。本当に謎。
植田先生のあの幕前が多い謎の脚本は先生の同世代には受けがいいのかもしれない。
大多数には理解不能だが。
でも今回のお芝居は原作のグッドバイがコメディであったためか、シュールな笑いや毒もすこしありつつも、全体的に明るく分かりやすいコメデイだった。
グッドバイは未完の作品ということで、半分以上はケラリーノさんが作った物語なわけだけど、ベタだけれどもキュンキュンして笑えるというお芝居で、家族で楽しく見ることができました。ありがとうございました。
祖母も寝なかったです。
演出について。
舞台の左右から中央上にかけて伸びる広い階段状のセット、縦長のスクリーン数個や、可動式の少し大きめな絹子の部屋、編集部、田島の部屋、バー(今でいうキャバクラ?)などのセットはその都度出入りし、後はキャストがダンスをしながら椅子などの小道具を持ってきて場面を作っていた。
お話の本筋での演出は、そんなに特徴があるものではなかったけれど、映画のオープニングのようなシーンや、舞台転換の際や回想などでダンスが差し込まれるところが特徴的だったと思う。
特にオープニングのシーンは、縦長のスクリーンに昔の映画のようなかすれた字でキャストの名前が出され、その下でキャストがポーズをとるという、スクリーンと階段状のセットを上手く使った印象的でかっこいいシーンだった。
あのシーンは、舞台を見ているのに、まるで映画を見ているような不思議な気持ちにさせてくれた。
キャストについて。
キャストは、主演の中村トオルさんをはじめ、そうそうたるメンバーがそろっているだけあって、演技はみなさん安定感があった。(なんか上からみたいですみません)
特に印象に残った主演の二人の感想だけ個別に書こうかな。
中村トオルさんは、本当にイケメンだった!!(語彙力の欠如)
まず、声がかっこいい。もちろん顔もかっこよかったけれども。
田島は裏商売に手を染めてお金を稼ぎ、妻子が地方に疎開していたことをいいことに大勢の愛人を囲っているというクズで、しかも自分勝手に別れを告げに行くのに、直接はっきりとは言いにくいから妻の代役を立てて愛人に自ら身を引かせるように仕向けるという、正直言ってクズの上にクズを塗り固めたようなクズの極みなわけだけど、中村トオルさんが演じるとこの男ならそうやって騙される人でるよなあって納得した。
しかも、田島は無駄にその愛人たちに責任まで感じているんだよね。
なのに別れは直接はっきり言えない。
そういうクズで情けなくて、それなのに無駄にいい男ぶろうとするところがとてもよく出ていた。
最後、田島と絹子が結ばれるときの接吻云々のシーンはニヤニヤしながら見た!
(キモイ)
もー田島もっと押しちゃえ!絹子も素直になっちゃいなよー!!みたいな心境で見てたけど、今思えば田島って本当にクズだし、1年間拘束されていたせいで仕事の地位も失って、裏商売の資金ももう奥さんに遺産として引き継がれているわけだし、
絹子、やっぱり駄目だわその男。目を覚まして。
あの時応援したのなしなし!!
上にも書いた通り、中村トオルさんの田島は最高だったけど、
このお芝居のMVPは間違いなく小池栄子さんだったと思う。
絹子は粗野で下品で貧乏でがめつくて信じられないくらいよく食べる、でも実は純情な女ということで、小池さんは普段の小池さんでは全くなかった。
リーガルハイの色気むんむん小池さんなんてどこにもいなくて、そこにいるのは色気0どころかマイナス100くらいの絹子だった。
絹子は基本的にその行動で観客を笑わせる役割なので、ご飯を中村トオルさんの顔に吹き出したりなどの行動をとっているんだけど、その行動のなかにも微妙な変化がうかがえた。
絹子は何か決定的な出来事があって田島を好きになったわけじゃない(というか田島は行動だけなら最悪だし)。それが伝わってくることがすごいことだと思った。
舞台ではドラマみたいに何時間もかけて関係性を生むわけにはいかないし、突然の出来事で恋に落ちることが多い。それはきっとその方がドラマチックで、派手で、描きやすいからなんだと思う。
でも今回のお芝居では、絹子の自然に恋に落ちる様を描いていた。
どこが好きとか、いつから好きとか明確に言えるのではなくて、なんでかは分からないけど惹かれていってしまう。
そういう絹子の揺れる気持ちがすごく自然に演じられていて、本当にすごいなと思った。
女優 小池栄子のファンになるお芝居でした。
グッドバイはコメディだったけれど、同時に絹子に感情移入して見た私には少女漫画みたいに甘酸っぱい恋の話でした。
でも、田島は良くないよ~絹子!!